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2010年度薬学部入試のポイント Vol.4

 こんにちは、鬱陶しい梅雨ですが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。今回は酸と塩基について考えてみましょう。酸と塩基には、押さえておかなければならない知識が結構あります。

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 最初に、酸・塩基の定義について考えましょう。酸・塩基の定義には、アレニウスの定義とブレンステッドの定義がありますが、これらの違いはどこにあるのでしょうか。一番の違いは水の取り扱いです、アレニウスの定義では、水はたんなる溶媒であって、酸でも塩基でもありません。しかし、ブレンスッドの定義では、水は反応する相手によって、酸として働いたり、塩基として働いたりします。ここが一番違うところです。

 次に、水のイオン積について理解しておきましょう。皆さんは水のイオン積というと、Kw= [H+][OH-]でその値は1.0×10-14と思うでしょう。しかし、この値はあくまで25℃での値であるのであって、水のイオン積は平衡定数の一種なので、温度が変化すれば、その値も変化します。水のイオン積は中和熱から誘導されますので、温度が高くなるとその値は大きく、温度が低くなるとその値は小さくなります。よって、中性のpHは25℃では7.0ですが、温度が高くなると7.0よりも小さくなり、温度が低くなると7.0よりも大きくなります。温度によって、水のイオン積が変化し、中性のpHも変化することは頭に入れておきましょう。

 次に、塩についてですが、これは、結構大切です。塩には、単塩、複塩、錯塩がありますが、今回は酸・塩基の中和反応によって生じる単塩について考えます。単塩には、正塩、酸性塩、塩基性塩がありますが、これらの分類は水に溶けて中性を示すのが正塩、酸性を示すのが酸性塩、塩基性を示すのが塩基性塩ではありません。液性とは直接には関係がなく、あくまで塩の構造上の分類です。酸・塩基の中和反応によって、NaClのように、もう放出できるH+、OH-が存在しない塩が正塩です。NaHSO4のようにH+がまだ残っているのが酸性塩、MgCl(OH)のように、まだOH-が残っているのが塩基性塩です。次に正塩の液性について考えます。強酸と強塩基による正塩は中性ですが、弱酸と強塩基による正塩は加水分解によって塩基性、強酸と弱塩基による正塩は加水分解により酸性となります。次に酸性塩の液性についてですが、先ほど述べたように酸性塩は水に溶けて酸性をしめすとは限りませんが、NaHSO4のように水に溶けて酸性を示すものが多いのです。しかし、NaHCO3のように水に溶けて塩基性を示すものもあります。NaHCO3が塩基性ではあることは考えても解らないので、しっかりと覚えておきましょう。ちなみに、私がNaHCO3は水に溶けて塩基性を示すのは考えても解らないと言うと、考えれば解ると、よく反論されます。その反論は、炭酸水素イオンが次のように加水分解されるので塩基性であると説明される場合があるのですが、

HCO3- + H2 H2CO3 + OH-

 上の加水分解の式は、NaHCO3が塩基性であると解っているときの説明には使えますが、液性が解らないときには炭酸水素イオンは次の2つの式を考えて、

HCO3- + H2 H2CO3 + OH-

H2CO3  HCO3- + H+

 どちらが起こりやすいのかで液性が決まりますので、受験生はどちらが起こりやすいかは判断できないので、結局考えても解らないことになります。NaHCO3は塩基性であるとしっかりと覚えておきましょう。

 次回にもう一回、酸と塩基の話をしたいと思います

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