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2011年度薬学部入試のポイント Vol.3

 梅雨入りを間近にひかえていますが、体調管理には気をつけて受験勉強頑張って下さい。今回は化学計算の基礎となる原子量や物質量及び化学反応式の量的関係について説明したいと思います。

 まず、元素の原子量がどのように決められているかを考えてみましょう。下の表に示すように例えば炭素や塩素原子1個の質量はきわめて小さく扱いにくいものです。そこで、1 2Cの質量を基準(12)とした相対質量を各原子について定めます。下表より3 5Clの相対質量は34.97となります。仮にClに同位体が存在しなければ、相対質量34.97がそのまま塩素の原子量になります。

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 しかし、実際の塩素には次の表のように3 5Clと3 7Clの同位体が存在しますから、それらの存在比を考慮した相対質量の平均値が塩素の原子量になります。ちなみに、周期表の炭素の原子量も同位体が存在するため12.01となっています。また、原子量は質量そのものではなく、1 2Cの質量を基準(12)にした相対値であるため単位のない無名数(むめいすう)となります。

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 次に、物質量の単位〔mol〕について説明しましょう。molが出てくるあたりから、化学が分からなくなってしまったという声を耳にすることがありますが、実際にはmolそのものは、きわめて理解しやすい概念です。すなわち、1molとは粒子(原子・分子・イオン等)が6.02×102 3個集まった集団の単位に過ぎません。よく例に出されるように鉛筆が12本あれば、1ダースというのと同じで、水素分子1molといえば、H2(2原子分子)が粒子として6.02×102 3個存在するという意味です。ただし、分子を構成するH原子の数は2mol、すなわち、2×6.02×102 3個になります。

 それでは、6.02×102 3という数(アボガドロ数)はどこから出てきたのでしょうか。その答えは原子量の基準を1 2C=12としたところにあります。すなわち、アボガドロ数とは1 2C原子12〔g〕中の1 2C原子の数なのです。

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 このように、1 2C=12を原子量の基準とし、アボガドロ数個の粒子の集団を1molと定義することによって、例えば、Cl2(分子量71)1molの質量は71〔g〕、NaCl(式量58.5)1molの質量は58.5〔g〕と、分子量や式量に〔g〕をつけた数が物質1molの質量となります。

 次に、化学反応式が表す意味について考えてみましょう。

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 上の表の化学反応式より、反応式の係数の比が物質量(mol)の比を表していることが分かります。また、反応物(反応式の左辺にある物質)の質量の和と生成物(反応式の右辺にある物質)の質量が等しい(質量保存の法則)ことが分かります。さらに、上の反応のように反応物及び生成物が気体であれば、係数の比は反応する気体の体積の比に等しくなっています。

 上の表で化学反応式が表す量的関係を理解して、反応に係わる物質の質量や体積を計算できるようになって下さい。

 ところで、皆さんはどのような参考書を読んでいますか?予備校の講師をしていると、よい参考書があれば、紹介してほしいと相談されることがよくあります。私は「まずは教科書」と言っているのですが、薬学部を目指すような受験生には卜部吉庸〔著〕(「化学」I・IIの新研究)を薦めています。内容はかなり高度なので、初学者向きではありませんが、化学を究めたいと考えている受験生にはうってつけの良書です。正直言って、私自身もこの本にはかなりお世話になっています(笑)。

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