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2018年度 薬学部入試のポイント Vol.9

 今回は薬学部入試で最も重要な有機化学について説明したいと思います。

 大学入試における有機化学(特に高分子化合物以前に習う分野)では有機物の構造決定に関する問題が大きなウェイトを占めています。これは、構造決定の問題では元素分析・官能基の性質・反応性・異性体(構造)に関する知識等、高校の有機化学で学習する事項がほとんどすべて集約されているといっても過言ではないからです。

 そこで、過去の薬学部入試問題から頻出問題を選び、解説したいと思います。

〈問題〉

化合物A(分子量114)は炭素、水素、酸素からなり、炭素および水素の含有率はそれぞれ63.1%と8.8%である。
化合物A2.28gを酸性条件で完全に加水分解したところ、カルボン酸1.48gと、化合物Bが得られた。化合物Bにフェーリング液を加え、加熱してもCu₂Oの赤色沈殿は生じなかったが、Bの水溶液にヨウ素と水酸化ナトリウムを加えると特異な臭いのする黄色沈殿が生じた。
化合物Aの異性体Cは鎖状のエステルで、酸性条件で加水分解を行うと、不斉炭素原子を有するアルコールを与えた。このアルコールに白金を触媒として水素を付加すると、光学異性体の存在しないアルコールが生成した。

(明治薬科大 改)

問1 化合物Aの分子式を記せ。
問2 化合物Bの名称を記せ。
問3 化合物Aと異性体Cの構造式を記せ。

解説

問1

 この問題の場合、各元素の質量組成値が与えられているので、それらの値を原子量で割ることによって原子数(モル数)の比を求めることができます。

*原子量で割った比が整数にならない場合は最も小さい数(この問題の場合1.8)で他の数を割って下さい。そうすれば、整数に近い値が得られます。

組成式 C₃H₅O = 57
分子式 (C₃H₅O)n =114  ∴ n = 2
したがって、化合物Aの分子式はC₆H₁₀O₂

問2

 Aの分子式中のO原子の数2個よりAは1価のカルボン酸と1価のアルコールのエステル(エステル結合-COO-1個)であることがわかります。
酸を触媒にした加水分解ではカルボン酸とアルコールBが生成しますから、反応式は次のようになります。

*エステルが強塩基と反応して加水分解された場合は カルボン酸の塩とアルコールが生成される。

 Aの2.28gは0.0200 molに相当しますから。加水分解によって生成されるカルボン酸も0.0200 molになります。したがって、カルボン酸の分子量Mは74になります。
-COOHの式量は45ですから、Rの部分は 74-45=29 → C₂H₅-となり、カルボン酸の示性式はC₂H₅COOHとなります。
したがって、アルコールBの分子式は

*不飽和度とは飽和炭化水素に比べて不足しているH原子の数を2で割ったもの。不飽和度が1であれば、分子内に二重結合を1個もつか環状構造が1個存在することになる。

 Bは分子内に二重結合を1個もちヨードホルム反応が陽性であることから、示性式がCH₃C(OH)=CH₂であるアルコールと判断できます。ここで、注意すべき点はこのアルコールは二重結合をもつ炭素原子に-OH基がついたエノールと呼ばれる不安定なもので、安定なケト型に変化することです。結局、加水分解されたアルコールは安定なケト型のアセトンCH₃COCH₃に変化します。 答 アセトン

問3

 エステルCの加水分解で生じるアルコールには水素が付加することができるため、二重結合を有することがわかります。また、エノール型からケト型に変化しないタイプであるため、(もし、エノール型からケト型に変化すれば、C=Oの部分に二重結合が生じ、水素が付加できない)このアルコールはR-CH(OH)-CH=CH₂の構造をもち、-OH基のついた炭素原子が不斉炭素原子になっているものと考えられます。さらに、水素付加後に光学異性体の存在しないアルコールが生成することから、-OH基のついた炭素原子に対して対称的な構造をとるものと考えられます。

 したがって、エステルCを構成するアルコールがC原子を5個有することから、カルボン酸はC原子1個からなるギ酸HCOOHであることがわかります。

エステルA (C₂H₅COOHとCH₂C(OH)=CH₂からなるエステル)

エステルC (HCOOHとCH₃-CH₂-CH(OH)-CH=CH₂からなるエステル)

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