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[受験特集]薬学部入試のポイント
医歯薬予備校で化学を約20年担当、松本大地先生が入試のポイントを紹介!

2018年度 薬学部入試のポイント Vol.10

 薬学部入試で最も重要な分野としてVol.9で有機化学を取り上げましたが、今回も前回に引き続き有機化学、特に糖類やアミノ酸・タンパク質について説明したいと思います。この単元は私立大学はもちろん国公立大学の二次試験では必ずと言ってよいくらい出題されますので、しっかり取り組んで下さい。

 まず、糖類から始めましょう。糖類において重要なことは、その構造から還元性の有無を判別できるかどうかと言うことです。教科書等ではそのことについてあまり詳しく説明されていませんから、単糖や二糖ではショ糖(スクロース)だけが例外的に還元性がないものと暗記している受験生をよくみうけます。しかし、この部分は暗記しておけばよいと言うものではなく、構造から理解しておくことが重要です。

 上の構造式はα‐グルコースとアルデヒド型グルコースの平衡状態を表しています。グルコースが還元性を示すのは鎖状構造のアルデヒド型に変化することができるからです。ここで重要なことは環状構造のどの部分が切れて鎖状構造に変化するかです。上のα‐グルコースの構造式で点線で囲まれている部分(同一炭素に-OH基とエーテル結合を1個ずつ含んだ構造)をヘミアセタール構造といいます。このヘミアセタール構造を形成している酸素原子と炭素原子の間の結合が切れてアルデヒド基が生じるのです。したがって、二糖やその他の糖類においてもヘミアセタール構造が存在すればその部分が切れてアルデヒド基が生じ、還元性を示すのです。


 上のセロビオースとトレハロースは二糖です。セロビオースの場合、右の六員環構造の部分にヘミアセタール構造(点線部)が存在するため、α‐グルコースと同じように環が開いてアルデヒド基を生じますから、還元性をもちます。それに対して、トレハロースの場合、α‐グルコース2分子が縮合した二糖ですが、ヘミアセタール構造の部分が結合に関与(点線部)しているため、水溶液中でも環が開いてアルデヒド基が現れることはなく、還元性をもちません。

 また、フルクトースのようにケトースとよばれるケトン基をもつ糖では、一般的に示される鎖状構造の場合、構造式上アルデヒド基は存在しません。


 しかし、構造式の点線で囲まれた部分(ヒドロキシケトン基)は下に示すような平衡状態をとり、アルデヒド基を生じますから、フルクトースも還元性をもつ糖といえます。

 糖類の最後として、デンプンの還元性について考えてみましょう。一般的に教科書や参考書ではデンプンやそれより重合度の小さいデキストリンには還元性はないと書かれています。しかし、アミロース(直鎖状構造のデンプン)を例にとれば、末端のうち一方はヘミアセタール構造の部分が結合に使われていますが、もう一方の末端のヘミアセタール構造は結合にかかわっていません。したがって、その部分はアルデヒド基に変化できますから、還元性をもつことになります。しかし、デンプンの場合、α‐グルコースの重合度が大きいため末端の還元性は無視されてしまうのです。大学入試において頻出ではありませんが、末端の還元性が問われる問題が稀に出題されていますので、本質的な理解が大切です。

 次に、アミノ酸についてですが、ここでは等電点について説明したいと思います。

 上の電離平衡はアミノ酸を水に溶かしたときの平衡状態を表しています。純水にアミノ酸を溶かした場合、ほとんどが双生イオンの形をとっています。双生イオンは電気的に中性です。ただし、純水に溶かした場合でも左側の陽イオンの濃度と右側の陰イオンの濃度が等しいとは限りません。もし、陽イオンの濃度が陰イオンの濃度より高ければアミノ酸全体の電荷は正、逆に、陰イオンの濃度の方が高ければ、アミノ酸全体の電荷は負になります。特別な場合として、陽イオンと陰イオンの濃度が等しいとき、アミノ酸全体の電荷は0となり、この場合のpHの値を等電点といいます。ちなみに、純水にアミノ酸を溶かしたときに陰イオンの濃度が陽イオンの濃度より高かった場合、水溶液を酸性にしていきます。そうすると、電離平衡は全体に左にずれますから、陰イオンは減少し、陽イオンは増加し、次第にアミノ酸全体の電荷は負から0に近づきます。そして、全体の電荷が0になったときのpHの値(この場合7より小)が等電点になります。

α‐アミノ酸は約20種類ありますが、アミノ酸・タンパク質の呈色反応との関連やその他特徴のあるものは覚えて下さい。

  • グリシン・・・・・・・光学異性体をもたない唯一のアミノ酸。
  • フェニルアラニン・・・ベンゼン環をもつ。
  • チロシン・・・・・・・ベンゼン環をもつ。
  • システイン・・・・・・硫黄を含む。
  • メチオニン・・・・・・硫黄を含む。
  • アスパラギン酸・・・・酸性アミノ酸(-COOH基をもつ)
  • グルタミン酸・・・・・酸性アミノ酸(-COOH基をもつ)
  • リシン・・・・・・・・塩基性アミノ酸(-NH₂基をもつ)
  • 必須アミノ酸・・・・・フェニルアラニン、リシン、メチオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、トリプトファン、トレオニン(計8種類)

 最後にタンパク質の呈色反応についてまとめましたので、必ず覚えて下さい。

■ビウレット反応・・・水酸化ナトリウム水溶液と硫酸銅(Ⅱ)水溶液を加えると、赤紫色を呈する。 
→ トリペプチド(ペプチド結合2個含む)以上で見られる反応。

■キサントプロテイン反応・・・濃硝酸と加熱すると黄色になり、アンモニア水を加えると、橙黄色になる。
→ ベンゼン環(チロシン、フェニルアラニン)のニトロ化による。

■ ニンヒドリン反応・・・ニンヒドリン溶液を加えて加熱すると、赤紫色を呈する。
→ アミノ基との反応によるもので、アミノ酸の検出に利用されるが、タンパク質の末端のアミノ基やリシンのアミノ基とも反応するので、タンパク質の検出にも利用される。

■ 硫黄反応・・・固体の水酸化ナトリウムを加えて加熱し、酢酸鉛(Ⅱ)水溶液を加えると、 黒色のPbSが沈殿する。
→ タンパク質を構成するアミノ酸に硫黄を含むメチオニンやシステインが含まれている場合に起こる。

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